保育士の資格はある。昔は保育士として、または幼稚園教諭として働いていた。でも今はやっていない。
そんなママ、実は結構多いんじゃないかなと思います。
私自身、子どもが少し手を離れた頃からそろそろ職場復帰しようかなって考えるようになりました。
せっかく持っている資格だし、保育の仕事は嫌いじゃない。
でも———。
「ブランクが長くて不安。」
「子育てしながら働ける職場なんてあるのかな?」
「またあの激務に耐えられるかな?」
って正直モヤモヤしてました。
そんな私が最初に踏み出した一歩は「派遣保育士」という働き方でした。
最初は不安もありましたが、今ではこの選択、本当に良かったと思っています。
派遣保育士として、半年+2年半を経て、今は正職として働いています。
子育てと仕事を両立できる職場に出会えたのです。
私が派遣保育士という選択をし、そこから正職員になった経緯をお話したいと思います。
・そろそろ子育ても落ち着いてきたし、仕事を始めようかな・・・
・保育士の資格はあるけど、子育てしながらはやっぱり無理かな・・
・保育士としてもう一度働きたい。でも、いきなり正職員は自信がない・・・
こんな風に悩むママたちへ。
あなたの一歩を後押し出来たら、うれしいです。

「また保育士として働くなんて無理」と思っていた私が一歩踏み出した日

保育士として、幼稚園教諭として、独身の頃に働いていたことがあるお母さん。
持ち帰りなんて当たり前の仕事じゃなかったですか?
私が独身のころ働いていた幼稚園も、「早く帰って仕事しないと終わらないよ。」と、副園長から謎なことを言われる職場でした。
30人を一人で担任していたので、製作準備は一人で30人分。そして園にいる時間は、全体の仕事もある。
結局、書類などは家でやるしかなかった時代でした。今思うと、家で仕事しなかった平日・・あったかな?
なので、子育てをしながら絶対にできる仕事ではないと思っていました。

でも、保育の仕事は好きなんだよね・・・
「子育ても落ち着いてきたし、日中は時間がある。」
「どうせパートにでるなら、保育士のパートをしようかな。」
ハローワークで調べてみるも、どんな園だかよくわからないし、パートもフルタイム募集が多い。
そこで初めて「派遣保育士」という働き方があることを知り、ネットでとりあえず登録をしてみることにしました。
- 資格(保育士・幼稚園教諭)
- 年齢
- 希望地
- 希望する就労時間
- 勤務開始希望日(すぐにでも・半年以内・1年以内)
などの入力をすると、翌日には担当の方から電話がかかってきました。
自分の希望をしっかり伝え、まずは幼稚園に子どもが通っている時間だけ働きたいことを伝えると、
9時から13時の4時間
という現場があることを教えていただき、少し家から距離はあったものの、8時から15時まではフリーなので、すぐにお受けし、働くことにしました。
保育士、本当にどこも人手不足なんです。こんなにすぐに決まるとは思っていなかったので、正直少し戸惑いはありましたが、思い切って一歩踏み出してみることにしました。
一歩踏み出した“派遣保育士”という働き方。その理由とは?


娘たちが2人とも幼稚園に通い始めたタイミングで、保育の現場への復職を考え始めました。
とはいえ、年度も途中だし、フルタイム勤務はまだ難しい・・・・。
いや、「まだそこまでがっつり働きたくなかった」というのが、本音だったかもしれません。
それでも、レジ打ちや飲食店のパートよりは、やっぱり保育士の方か時給がいい。さらに調べてみると、保育士のパートよりも“派遣”の方がさらに高時給。



同じ時間働くなら、そりゃ~時給高いほうがいいよね~
そんな軽い気持ちで派遣に登録してみることにしたんです。
パートではなく“派遣”を選んだのには、高給ということだけでなく、もうひとつ大きなポイントがありました。
パートだと、その園に直接雇われる形となるので、休みの申請なども園に直接しなければなりません。
その点派遣なら、休みやシフト調整など、担当者が間に入って対応してくれることも多いんです。
何かトラブルがあった時も、まずは派遣の担当に相談できて、仲介してもらえる。
この“ワンクッション”がある安心感は、思ってた以上に大きな支えとなりました。
ただし、派遣先によっての雇用条件がかなり異なるので、事前の確認は必須です。
- 書類を書くことになるのか
- リーダー(クラス担任的な役割)を任されるのか
- 行事への参加はあるかどうか
このあたりは、登録時や面接のときにしっかり確認しておくのが安心です。
正職員並みに働かされる園もあるので、自分の希望はしっかり伝えておきましょう。
私はというと、子どもがまだ小さかったこともあり、まずは「家庭優先」で働ける職場を選びました。
保育の大変さは身に染みているので、自分の中で「慣らし期間」と位置付けて、スタートすることにしたのです。
もちろん、命を預かる現場で“手を抜く”なんてことはできません。
そのうえで、「今の自分にできる範囲」で関わる働き方———
それが“派遣保育士”という選択でした。
でも、最初の派遣先はまさかのブラック園だった
派遣会社から紹介されたのは「9時から13時までの4時間勤務」という、体力的にも気持ち的にも「復帰一発目」としてはありがたい条件の園でした。
ところが、いざ働き始めてみると、そこは完全に“ブラック園”。
とにかく若い先生が多く、トップに気に入られた先生が優遇される職場で、職員同士は足の引っ張り合い。
「誰かのミスはチャンス!」とばかりに、すぐに上に報告する雰囲気。
とても未来の子どもたちを育てる場所とは思えない空気が流れていました。
私が派遣として勤めた10ケ月の間に、なんと5人の先生が退職。
いや“辞めた”というより“ある日突然急に来なった”という表現の方が、正しいかもしれません。
私はというと、派遣という立場でありながら、2歳児を8人も含む17人の年少クラスを、まさかの「ひとり担任」。
幼稚園勤務時代に一人担任の経験はあるから、出来なくはない。
しかし、今回は「責任の重さを調整したい」と思って派遣保育士を選んだ。なのに、毎日がまるで戦場のようでした。
製作も一人、トイレ指導も一人、箸の使い方まで一人で教える。仕事内容も、子どもたちがやるべきことも、他の園と比べるとかなりハイレベル。
それを一人でこなすには、明らかに無理がありました。
しかし、先生はいないし、子どもたちは待ってはくれない。
「やるしかない」という状況でした。
そんな中、あと2ケ月で契約終了のころ、事件は起きました。


【お皿代、650円】まさかの実費請求
3歳児が給食のお皿を落として割れてしまいまった。
怪我もなく、私は園長にそのことを報告した。
すると翌日、主任から渡されたのは「650円」の請求封筒———
給食では瀬戸物の食器をを使っていましたが、3歳児にも“配膳当番”をさせていました。
その日、当番の子ども同士がぶつかってしまい、お皿を1枚落として割れてしまったんです。
幸いにも子どもたちにケガはなく、代わりの給食は出してもらえたので、大きな問題はなかったと思っていました。
園長先生が不在でしたので、私は退勤前にメモを書き残しました。
「本日、子ども同士がぶつかりお皿を1枚割ってしまいました。ケガはありませんでした。」
ところが、翌日———
主任先生からこう言われたんです。
「昨日のお皿の件ですが、はい、これ。明日までにお願いします。」
渡されたのは、茶封筒。
そこに書かれていたのは———
**『皿代 650円』**
———え?え??自腹?!
完全に脳内フリーズしました。
その瞬間、ゾッとしたんです。「今回はお皿だったけれど、もし子どもに傷がついていたら…?」
責任がすべて担任に降りかかる世界に、ただただ恐怖を感じてしまいました。



こんなに人が足りない中、無理だとわかっていても、私は毎日必死に子どもたちのためにやってきたのに…。
誰にも助けてもらえず、評価ももらえず、それどころか、子どもが落とした責任まで私が取るの…?
もし昨日、子どもにケガまでさせていたら、わたし一体どうなってたの…?
怖くてたまりませんでした。
その日をどうにか終え、私は帰ってきてすぐに派遣先の担当者に電話をしました。
「もう、明日からいけません」
事情を話すと、担当者の方も即座に「それはおかしい。」と。
「そんな園を紹介してしまって申し訳ない。」と平謝り。
私に代わって園に連絡をしてくださり、無事に退職が決まりました。
派遣という働き方でなければ、私は逃げることが出来なかったと思います。
私が行かなくなった次の日から、「あの子たちはどうしているんだろう・・・。」
純粋に、もうあの子たちに会えないと思うと、胸が痛かった。
「あの子たちは何も悪くないのに。ただただ、大人たちの都合に振り回されてしまってるだけなのに。」
そんなことを考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
でも、あのままでは、私の心も身体も壊れていたと思います。
派遣という働き方だったからこそ、私はこの園から離れることができました。
直接雇用のパートだったら、きっと辞めるまでにもっと大きなエネルギーが必要だったはず。
この経験で、「保育の仕事」そのものに対する不安というよりも、“どんな職場を選ぶべきか”という不安の方が大きくなりました。



また同じような職場だったらどうしよう
結局、派遣を必要としている園って、人員不足なとこばかりじゃないの?
———そんな思いが頭の中でグルグルし、次の一歩を踏み出すのにも少し時間がかかりました。
そこで、次の派遣先を選ぶときには職場の人間関係や雰囲気について、担当の方に細かく聞くようにしたんです。
時間はかかっても、自分が気持ちよく働ける場所をみつけるために、妥協はしたくないと思うようになりました。
次の園できづいた「ここならやれるかも」の感覚


ブラック園を退職して、8ヶ月ほど経った頃だったかな。
派遣会社から次の園の打診がありました。「主婦層が多くて、働きやすい環境だと思います」と言われ、まずは見学に行ってみることに。
園長先生も話しやすい雰囲気で、さらに、出産前に公立保育所で一緒に働いていた“おばちゃん先生の姿”を発見!!思わず嬉しくて声を掛けてしまいました。
ここの園でも、9時~13時の4時間勤務が可能ということで、もう一度チャレンジしてみることにしました。
実際に働いてみると、どの先生も話しやすく、同年代や、私より年上の先生もたくさん。(当時私は確か35歳くらい)中には、産休・育休をとって戻ってきて子育てしながら働いている正職の先生も多くいました。
だから、子どもの体調不良による急なお休みや、学校行事での欠勤も、誰も嫌な顔せず快く受け入れてくれました。
しかも、定時退勤が当たり前! 就業時間の1分後にはみんな帰ります。これ、保育業界では本当にレアな職場です。就業時間きっかりに帰れるなんてね。
持ち帰り仕事もほぼありません。子どもたちが午睡している間に書類作成も済ませられる。
その時間利用が許されていたからこそ、どの先生たちも時間を上手に使って、効率よく働いていました。
私自身も、自分の子育てもおろそかにすることなく、無理せず、保育の仕事を楽しめるようになっていきました。
もちろん、保育の現場は女性が多い職場ですので、人間関係に悩むこともあります。
何人もの先生がいれば、相性の合わない先生がいることもあります。
でも、それ以上に、気の合う先生や、気軽に相談せきる先生とも出会えました。



ここなら、やれそう!
そう思えたことで、少しづつ勤務時間を伸ばし、派遣として2回目の新年度を迎えたときには、目にはフルタイムで働けるようにまでなったのです。
気付いたら2年半、派遣として働いたのち、正職へ。


気付けば、あっという間に2年が過ぎました。
子どもたちも2人とも小学生になり、通っていた幼稚園の学童保育を利用して、学校も下校後も楽しそうに過ごしていました。
そろそろ次年度のクラス編成が始まる時期に、園長先生から声をかけられたんです。
「来年度から、正職、考えてみない?」
驚いたけど、正直ちょっと嬉しかったんです。だって、必要とされてるって、やっぱり嬉しいことだから。
2年間働いてきて、この園なら「家庭と両立しながら働ける」という安心感がありました。
子どもの体調不良でも気兼ねなく休みが取れて、持ち帰りの仕事もほとんどなし。
まだまだ子育て中の私には、本当にありがたい環境でした。
でも、正職となると話は別。早番・遅番・土曜保育・行事担当‥‥仕事は確実に増えます。



本当にやっていけるかな・・・
不安はもちろんありました。でも、



やってみて無理だったら、その時また考えよう!
———そんな気持ちで、一歩踏み出すことに。
主人にも相談し、子どもたちにも「協力してね」と伝えて、正職になることを決めました。
うちの園では、早番や遅番のシフトが半月前には出るので、予定が立てやすく、主人にも調整してもらいやすい。
書類作成も、派遣の時からやっていたので問題なし。
行事の担当になると多少は忙しくなるけれど、基本的には勤務時間内で準備できるので、それも大丈夫そう。
「やれそうかも。」
と、どんどん前向きな気持ちに変わっていきました。
正直、30代後半に正職としてキャリア復帰できるなんて、思ってもいませんでした。
独身の頃にように働くのはもう無理だと思っていたし、「保育士の正職=家庭との両立は不可能」だと思い込んでいたんです。
でも、実際ここでは、子育てしながら頑張っている“保育士ママ”がたくさんいました。
そんな先生たちの姿に背中を押されて、また新たな一歩を踏み出してみようと思えたのです。
モヤモヤして不安を感じているあなたに伝えたいこと


保育士の資格はあるのに、ブランクや職場環境への不安で、なかなか一歩が踏み出せないママたち。
私もまさに、同じ気持ちでした。
それでも、「保育は好き」「今の環境を変えたい」と思い、“派遣保育士”として一歩を踏み出してみたんです。
もちろん最初からうまくいったわけじゃありません。
だって、派遣で初めて行った保育園は…まさかのブラック園。
無理な一人担任。実費請求のショック…。でも、派遣だったからこそ、逃げることができました。
次に行った園は、主婦層が中心で、定時退勤・持ち帰り仕事なし。安心して保育と向き合い、働くことができました。
2年半の派遣保育士を経て、信頼も築け、ようやく「新たな自分の居場所」を見つけられました。
家庭と仕事を両立しながら働ける園に出会えたんです。
私は、派遣保育士として2つの園で働きました。そして2つ目の園で、正職になるという働き方を選びました。
私が正職として働くと決めた園にも、いまも派遣として働いている先生がいます。その中の一人は、3年ごとに新たな園に移動していて、「責任が少なく、子どもたちと関われる最高の働き方」だと話していました。
それも一つの選択肢だと思います。
だからきっと、あなたにも“あなたらしく働ける場所”があるはずです。
まずは“お試し感覚”で派遣に登録してみるのも、一歩だと思います。
あなたの一歩を、私は心から応援しています!
未来を担う子どもたちのために、あなたの資格をぜひ生かしてください。
この仕事は、確かに辛いこと・大変なことも多いです。
でもそれ以上に、笑顔になれる瞬間がたくさん待っています。
一緒に、笑顔になりましょ~~。
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